この本を手に取ってくださったあなたは、仕事ができる方かもしれないし、そうでないかもしれません。「業務は完璧に遂行するし、上司や部下との関係もバッチリ、怖いものなしだぜ」というスーパー仕事できるマンの方は、この本を読む必要はありません。今すぐページを閉じて、より高度な仕事術について書かれた他の本を読まれることをお勧めします。 逆に、「毎日出社する前から帰りたい」「上司に目をつけられないよう音を立てずに暮らしています」「仕事をする中で、なにがわからないかもわからない」「自分はなんてダメなやつなんだろうと頭を抱える」……これらの言葉に親近感を覚える、そこのあなた。 今回は、まさにそんなあなたの為になればと思って、この本を書くことに決めました。 ひとまずここで、簡単に私の自己紹介をしておきます。 私は現在26歳で、新卒3年目にあたります。2018年に東証一部上場の某ゲーム会社に就職したのち、ゲームプランナーおよび人事補佐としての仕事をしていました。しかし優秀な同期たちと比べられるのが辛くて、適応障害およびうつを発症。2020年の1月に、新卒入社した会社を辞めてしまいました。そのあと、唐突に江ノ島に引っ越したり、引きこもりの療養生活を送ったりしたのち、なんやかんやあって、現在は小さな会社のwebマーケティングチームのリーダーをしています。「どうして不出来な自分に病んで、会社を辞めるまでに至った人が、チームリーダーを任されているの?」と疑問に思われる方もおられることかと思います。 どん底にいて、自信を持てずにいた私を引っ張り上げてくれたのは、多くの読書体験でした。私は新卒一年目から現在に至るまで、毎年80冊以上の本を読み続けています。当時、私の面倒を見てくださっていた上司が、読書を勧めてくれたのがきっかけでした。「読書って、巨人の肩に乗るようなものだよ。偉大な先人たちが、何年何十年とかけて見つけてきた真実を、ほんの数時間で知ることができる」 そう語る上司はとても仕事のできる人で、私も彼のようになりたいと願い、ひたすらに本を読み続けてきました。 不思議なことに、本は数を読めば読むほど、「大切な部分」がどこなのかすぐにわかるようになってきます。そうしてがむしゃらに数をこなし、知識を積み上げていくうちに、仕事を進める上での「コツ」のようなものがどんどん蓄積され、結果を出せるようになってきました。 そうして集めてきた「コツ」をギュッと濃縮して、いつかの私と同じように、自分に自信を持てずにいるあなたに手渡すために生まれたのがこの本です。 この本を読むことで、少しでもあなたの仕事に対する嫌な気持ちが消え、そして「働くって、別にそんな悪いもんじゃないな」と感じてもらえるようになれば嬉しいです。 一番優れた人にならなくていい。高いノルマをクリアしなくても、ほんの少しだけ昨日のあなたよりもいい仕事ができるようになれば、それだけで見える世界は鮮やかに色づくはずだから。 そして、併せて初めにお伝えしておきたいのですが、この本を読んで「そんな綺麗事ばっかり言われたって仕方ないんだよ!」と悲しくなったり、怒りを感じる人も決してゼロではないと思っています。そういう場合、あなたはこれまで本当によく頑張って、頑張って頑張って頑張り過ぎて疲れ果てています。本当に立派だと思います。まずはゆっくり休んで、美味しいものを食べて、いろいろ考えたり試してみるのはその後で大丈夫です。どうかあなたの健康を守ることを最優先に考えてくださいね。私自身が一度壊れていますから、これは先をいくものとしての心からのお願いでもあります。 やっていきましょう。明日の朝、ほんの少しでも気楽に出社できるようになる為に。